ゾウの時間ネズミの時間 サイズの生物学


ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学

著者/訳者: 本川 達雄/
出版社  : 中央公論社
出版日  : 1992/08

 すべての哺乳類の時間の流れは、体重の1/4乗に比例する。象もネズミも一生のうちに呼吸する回数は3億回、心臓の打つ回数は20億回。
大人と子供の間でも、この法則は成り立つ。赤ん坊が胎内にいる場合などもそうだ。
 標準代謝量は体重の3/4乗に比例する。したがって、体重が2倍になってもエネルギー消費量は1.68倍にしかならない。
恒温動物、変温動物、単細胞生物それぞれも係数が違うだけで0.751乗であることに変わりはない。
 脳の重さは体重の3/4乗に比例する。骨の重量は体重の4/3乗に比例する。
Lindstedt & Calder のアロメトリー式が有名

寿命(飼育したもの)6100000W^0.20
98%の大きさに達する時間635000W^0.26
50%の大きさに達する時間185000W^0.25
固体郡内の個体数が倍になる時間316000W^0.26
懐胎期間94000W^0.25
γーグロブリンの1/2寿命842W^0.26
脂肪を代謝して使い切る時間(体重の1%)170W^0.26
腸のぜん動時間0.0475W^0.31
呼吸間隔0.0187W^0.26
心臓の鼓動間隔0.00415W^0.25
筋肉が収縮する時間0.000317W^0.21

動物は酸素をいかに細胞の隅々まで運ぶかが問題。小さな動物は皮膚呼吸で直接。内部は循環器で送り込む。
植物はセルロースが大発明。これを分解する酵素が存在しないのが生き残ってきた秘密。
昆虫はクチクラの糖分でできた硬いモノコック構造が取り柄。問題は、脱皮が難しいことで、ある一定以上には成長できない。
巻き貝の外骨格は素晴らしい。脱皮をしないで成長するにはこの形しかない。ヒトデの外骨格はまれに見る傑作。