インターネットはからっぽの洞窟

かつて、パソコン通信からインターネットへ切り替わりつつあった時代の物語。
筆者は1日の大半をコンピューターと向かい合うことにうんざりする。
 ハードウェアはあっという間に旧型になり、毎年買い換えなければならない。
 ソフトウェアは思ったように動かないし、ようやく操作を覚えたら次のものに移り変わっている。
モデムは遅く、ネットから取り出すことのできるメッセージは子供のケンカのような論争。
電子メールは読むのに時間がかかり、本物の手紙のような価値は何もない。
決済システムは実験中、データーベースはそこが浅い。底の浅いニセ現実。
 でも、インターネットを利用した夢のような社会が語られる。リモートオフィスや在宅勤務、オンラインバンキングや電子証券取引、オンラインショッピングと電子投票。そんなもの実現するわけないだろ。あったとしても何十年も先の話。

 コンピューターでやり取りされるデーターのフォーマットはさまざまで、ソフト間、バージョン間の互換性もない。私の書いた文章は来年読めることを誰が保障してくれるのだ。
 ネット上は混沌としていて、どこに何があるのかさっぱりわからない。
 
 ああ、まったく昔はそうだったね。懐かしく思い出した。