アポトーシスとは何か―死からはじまる生の科学

アポトーシスは遺伝子に組み込まれた細胞の自滅。断片化した小胞となり周囲の細胞に影響を与えない。これに対してネクローシス(壊死)は突発的に起こる細胞死、細胞の事故死。機能停止により浸透圧の制御ができなくなり細胞が膨張して破裂する。そのとき細胞の内容物、溶解酵素等をぶちまける。このため周囲に痕が残る。
 TNFやFasリガントなどのサイトカインのほかにグルココルチロイドホルモン、T細胞レセプターへの抗原刺激、ウイルス感染などが引き金となり決定機構を経て自殺する。高等動物においては必ずしも1方向ではない。
 ガン細胞ではアポトーシスを巧妙に回避することで、異常な細胞が無限の寿命になる。
 成長の過程においては、いったん多めに細胞分裂してから余分な細胞がアポトーシスする。細胞分裂の2,4,8,16といった増え方では数の調整が難しいのと、問題があったときの補欠として機能する。
 T細胞は未知の細菌にも対抗できるようにするため、ランダムな組み合わせで抗原を認識するTCRを作成し、胸腺の中で自分自身の細胞に反応するものをアポトーシスさせる。そのため合格率は5%となっている。
 分裂が終了すると一生使う細胞、たとえば神経細胞などはアポビオーシスによって終了する。人間の場合は120年の寿命となっている。
 老化は細胞内に分泌されている物質によって促進される。
 DNAの両端にあるテロメア細胞分裂を繰り返すことで短くなる。テロメアはDNAポリメラーゼでは複製されず、テロメラーゼによるRNA複製によってコピーされる。老化するとテロメラーゼが分泌されず、テロメアが短くなると遺伝子異常が多くなる。