モモ

灰色の男たちが理髪店のフージーさんを説得する場面

2,207,520,00秒
「これがつまり、フージーさん、あなたがお持ちの財産です」
「睡眠、仕事、食事、母、セキセイインコ、買い物ほか、友人、合唱ほか、秘密、窓 この合計が1,324,512,000秒、つまりあなたがこれまでに浪費してしまった時間なんです。どう思います、フージーさん」

「たとえばですよ」「もしも20年前に1日わずか1時間の倹約を始めていたならば、あなたは時間銀行にいまでは2628万秒の額を預けるご身分になっていたはずです。1日2時間ならもちろんその倍の5256万秒になっていたでしょうな。どうです。フージーさん、これほどの額と比べればたかが2時間ぐらいがなんです?」
「それでもし、これから先の20年も、おなじように1日2時間の倹約をなさっとすると、なんと1億0512万秒といいうすばらしい額になる計算です。そうなると、あなたは62歳にたっした暁には、この大資本が自由に使えるわけです。」

結末は言わないが、時間の節約と使い方について考え直すきっかけになった。