モモ

灰色の男たちが理髪店のフージーさんを説得する場面

2,207,520,00秒
「これがつまり、フージーさん、あなたがお持ちの財産です」
「睡眠、仕事、食事、母、セキセイインコ、買い物ほか、友人、合唱ほか、秘密、窓 この合計が1,324,512,000秒、つまりあなたがこれまでに浪費してしまった時間なんです。どう思います、フージーさん」

「たとえばですよ」「もしも20年前に1日わずか1時間の倹約を始めていたならば、あなたは時間銀行にいまでは2628万秒の額を預けるご身分になっていたはずです。1日2時間ならもちろんその倍の5256万秒になっていたでしょうな。どうです。フージーさん、これほどの額と比べればたかが2時間ぐらいがなんです?」
「それでもし、これから先の20年も、おなじように1日2時間の倹約をなさっとすると、なんと1億0512万秒といいうすばらしい額になる計算です。そうなると、あなたは62歳にたっした暁には、この大資本が自由に使えるわけです。」

結末は言わないが、時間の節約と使い方について考え直すきっかけになった。

ウェブを進化させる人たち

1 コンシューマビジネスの旗手たち

  • SNSは社会的なインフラになる―ミクシィ笠原健治
  • 購入までのすべてのステップで情報を提供するサービスへ ―ECナビ宇佐美進典氏
  • モバイルゲームで大成功、狙いはケータイポータル―ディー・エヌ・エー守安功
  • ネットの集合知をリアルに生かす手段を提供したい―アイスタイル吉松徹郎氏

2 IT戦略家が潮流を読む

3 企業はネットとどう向き合うべきか

  • 新しい広告技術でCGMのマネタイズを―ドリコム内藤裕紀
  • サイトは企業そのもの、Webを戦略的に使う―ネットイヤーグループ石黒不二代氏
  • 新しいターゲットメディアマジックミドルへのアプローチ―インフォバーン小林弘人氏
  • 企業広報も2.0の時代―ニューズ・ツー・ユー神原弥奈子氏

4 既存ビジネスを打ち破るWebイノベーター

「みんなの意見」は案外正しい

はじめに

雄牛の体重当て、共に全員の平均値(多数決ではない)が最も近い人より正解に近かった。
スコーピオン号探索は場所宛の賭けの結果よりベイズの定理を使って位置を予測した。

第1部

第1章 集団の知恵 The wisdom of crowds

方法として、株式市場、投票、ポイントスプレッド、競馬のパリミューチェル方式、コンピューターアルゴリズム先物取引
多様性、独立性、分散性という要件を満たすように

第2章 違いから生まれる違い

 ハチの効率性。2キロ以内にある花畑を発見する確立は50%以上。ハチは議論などしない。8の字ダンスをおどるだけ
 人々は集団の理論にしたがう一方で、1人でも集団に反対の意見があれば簡単に同調する。意見を言いやすくする工夫が必要。

第3章 ひと真似は近道

情報カスケードの只中にいる集団は8割の確立で正しい答えを出す。これは1人の判断より正確である。集団の多様性としては悪い方向に働く。同時に答えを出すようにすれば、1人1人の不完全な私的情報に基づくグループの判断は情報カスケードより正確。

第4章 ばらばらのカケラを一つに集める

CIAは911テロを見過ごした。リナックスは数多くの開発者が好き勝手をやっていながら、優れたシステムになった。
DARPAが資金提供した未来市場予測システムPAM。「軽率」「不愉快」「無用無益」として非難された。

第5章 シャル・ウィ・ダンス?

金曜日に混んでいるバーに行って不愉快な思いをしないようにシミュレーションしてみた。100週のなかで程よい来客数の週を選ぶ方法は見つからなかった。しかしながら、来客数を平均すると最もほどよい混み方の60%になった。
 バーノン・スミス - Wikipediaの実験によると市場は多少不完全であっても理想に近い結果を導いてくれる。しかしそれは常時ではない。

第6章 社会は確かに存在している

最後通牒ゲーム によれば、相手が自分よりずっと沢山の現金を持ち逃げするぐらいなら、自分も相手も一銭ももらえないほうがいい。
 資本主義は赤の他人でもそうそう裏切ったりはしないという前提で成り立つ、非人間性こそが美点。マルクスが「金銭的な結びつき」と呼んだもの。
 公共財ゲーム、最後通牒ゲーム、独裁者ゲームを様々なタイプの人に行うと、市場指向型の社会の人が協力し合う傾向が見られた。
 目先の利益より長期的利益のほうを優先させることで社会は成立する。個人の利益を最大化させようとすると、ただ乗りが最もよい選択なのに、強調を選ぶのは合理的に説明できない何かがある。

第2部

第7章 渋滞

渋滞はドライバーの多様性によっておこる。自動運転にすれば渋滞はなくなるが、勝手に車が動くことを許容できない。
ディルク・ヘルビングの「飽和流」

第8章 科学

SARSがウイルスと特定した件について。全世界規模であり、驚異的速度であった。今日の科学界の仕組みのすばらしさは、誰もリーダがいない点にある。
「マタイ効果」聖書の「おおよそ、持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう」にちなんでつけられた。
化学では、共著で論文を発表したとき、貢献にかかわらず有名な人の功績になる。物理学者の「ルイス・アルバレス」は「物理学に民主主義はない。誰も名前も知らないような二流のやつの意見には、フェルミの意見と同じ重みは認められない。」

第9章 委員会、陪審、チーム

コロンビア号空中分解事故 - WikipediaNASAに蔓延する深刻な制度的、組織風土的問題。MMTは小さな集団をこう運営してはいけないという見本みたいなもの。
小さな集団はたくさんあり、小さな集団はフィードバックを受けない。小さな集団はお互いの影響を受けるスウィング状態を常に作り出すのは難しい。天邪鬼がいないところでは、話し合いが行われた結果、集団の判断が前よりもひどい内容になることがある。「集団極性化サイバーカスケード - Wikipedia
集団のメンバーが顔見知りだと、地位が発言パターンを規定する。極端な意見のほうが声高で自信に満ちており、集団をリードしやすい。
ポイント
集団の意思決定は本質的に非効率的ではない。
小さな集団を意思決定プロセスに組み入れるのなら、そのメンバーの意見を集約する仕組みがなければそんなことをしても全く無意味だ。

第10章 企業

アウトソーシングすることで得られるものと失われるもの。ギャング映画に学ぶ理想的な組織など存在しないという点。
社内競争がもたらすメリットは否定しないが、深刻になると1つの企業体として存在している意義を破壊する。分散化は全員が同じチームとして働いていると思える状況でなければ、機能しない。
CEO救世主伝説。たまたまであった。過去の功績は未来を保障しない。ピーター・ドラッカー「賢明なCEOは必ず自分の周りにマネジメントチームを作る」

第11章 市場

空売りに対する敵意はまちがい。少数の空売りが市場を正気に戻す。
株式市場は起業が将来稼ぎ出す額が正確に反映されているのか。その判定はいつ下せばいいかわからないのが問題。
バブルは、全員が集団の知恵にただ乗りをするようになると、既存の集団に新しく何かを付け加える人が誰もいなくなることで、集団全体の賢さが減じられる点にある。
レオン・マンの研究、自殺志願者をあおる群集
マーク・グラノベター 暴徒が集合的な性質を帯びるのは突然狂気にとりつかれたからではなく、非常に複雑なプロセスの結果である。

第12章 民主主義

人が投票行動を行う合理的理由はを自己利益理論でせつめいできない。にもかかわらずなぜ、投票するのか。ドナルド・R・キンダーとローデリック・キーウェットが行った一連の調査では、人々が自分の生活状況について語った内容と投票行動の間にはなんら関係はなかったが、世の中一般の景気について語った内容と投票行動の間には相当な相関関係があった。
集団が直面する問題、認知、調整、強調
民主主義の経験は「敵が自分の欲しかったものを手に入れる様子を目の当たりにする」敗北の経験であり、敗北を受け入れる経験でもある。
それは、いつかは自分も手に入れられると信じているから。