最強伝説黒沢 1


最強伝説黒沢 1 (1)

著者/訳者: 福本 伸行/
出版社  : 小学館
出版日  : 2003/06/30


昨年のワールドカップ日韓共同開催は多くの日本人に影響を与えられたらしい。
先に紹介した「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」(ISBN:4-344-00262-8)の
橘玲氏は、チケット予約に必死になるより頭を使えと前書きに書いてあったし、
2ちゃんねるhttp:://www.2ch.net/では嫌韓運動が起こり、その力を世間に見せた。

 福本氏は赤の他人の日本人同士が一緒になって必死に応援する不思議さに目をつけた。
「お前ら何かごまかしているだろう」という一部の阪神ファンにも共通する部分だ。
 考えたくないので直視せず、見えているのに見えないふりをして自分にも嘘をつき、
痛みに耐えて毎日同じ生活を繰り返すだけで確実に年齢だけが増えていく。
 そんな黒沢(44歳)に自分が重なって見えて読んでいてつらい。
 感情移入をさせるポイントは主人公が自分と同じ弱みを持つことなのだが、
ここまでやらなくてもと思ってしまう。 最初でここまでつかんでしまうとはさすがだが、
こうやってつかんだ読者は、主人公が偉くなっていくにしたがって感情移入は嫉妬に
変わるだろう、そこんところをどう処理するかが見ものだ。

 余談になるが、福本氏が以前ラジオの番組にゲストで出演したときに、漫画家になった
きっかけを聞かれて、「何でこんなくだらねーマンガ描いてお金がもらえるんだ」
と思ったからと答えていた。
ちゃんとものを考えるひとなのだろうな。