五体不満足
著者/訳者: 乙武 洋匡/ 出版社 : 講談社 出版日 : 1998/10 |
この本のオビには優しい気持ちがわいてくる本と書いてある。ふざけるな。今までに読んだ本の中で、1,2を争うぐらい不愉快な本だ。最悪だ
わからない人がいるなら、わかるように言おう。もしこの本を書いた人が五体満足で、本のタイトルが「僕の学園生活」だったと仮定して読み返してほしい。
早稲田の大学生が、一人前になにをわかったふうに言っているのだと思う。コイツはなんなんだ。本なんか書いてないで、もっとやることがあるだろうと思う。
前提条件をかえるだけなのに、内容が180度違ったものになる、気持ちのどこかに身障者割引がある証拠なのだ。
そこに自分の卑しさがあり、それもまた腹立たしい。
疑問である。人間がそんなにまっすぐに育つものなのだろうか。たとえばスカートの中をのぞいてみたり万引きしたり、不良にかつあげされたり、学校でうんこちびったり、改造花火でケガしたり、タバコを見つかって怒られたり。女の子に告白したら相手にされなかった挙句言いふらされたり。ああ、最低だ、というのが学生であって、いやそれはおいらのことか、いやちがう、断じて違うぞ(涙)。それでは本にならないけど、そういう話であれば、おいらは共感する。
積極的で明るくていつもクラスの人気者。先生の受けもよく、なんでも器用にこなす。しかも、普段は努力しないくせに、ちょっと勉強しただけでトップに立ってしまう。
英語だってSVOがわからない状態から1年勉強しただけで、早稲田の志望学部すべてに合格し、入学してすぐESSに入部200人を超える新入生を勝ち抜いてスピーチコンテストで優勝してしまった。
そんなことが本当にあるのか、じつはちょっと話を大げさにしてみましただったら、おいらは彼を許さない。
いまも寝ないで英単語を覚えている受験生がいる。何冊もの問題集、ぼろぼろの単語帳、赤本の問題なんてとっくに暗記している。それでも合格するかどうかというのが受験なのに、必要以上に彼らを追い込みたくはない。気持ちがわかるから。
ちなみに、おいらは小学校から遊びたいのを我慢して塾に通い、ずっと勉強を続けてようやく入れたのが地方公立大、並よりマシというレベルで合格するところだ。
当時は共通一次といっていたテスト。1000点満点でたったの600点しか取れない。1年間浪人してまでしてこの結果だ
小学校も中学校も高校も学校生活は最低だった。学生時代から続いている友達もいないし、学生時代なんて思い出したくもない。
受験のためにアマチュア無線もやめた。ギターもやめた。ベースもやめた。クラブ活動もしなかった。なのに、なのに、、、
いったい努力で埋まらないこの差は何なんだ。悔しくて腹立たしくて、、、
学力、行動力、カリスマ性、彼は4本の手足以外のすべてをもっているじゃないか。
そして、心のどこかで誰かが言うのだ。「乙武くんは手足がないのにえらいね−。それに比べて誰かさんは・・・」
それ以上言うな。嫉妬する以上に彼を嫌いになりたくない。こういう心無い一言がどれほど多くのものを潰してしまうか、よく考えてから言葉にしろ。
ああいやだ。そして、こんなことに腹を立てている偏狭な自分がいやだ。たまらなく。寝る前に読んだばっかりに、悔しくて眠れなかった。読まなければよかった。