金融工学マネーゲームの魔術
著者/訳者: 吉本 佳生/ 出版社 : 講談社 出版日 : 2000/04 |
難解と言われるオプション理論の解説書。ものすごくわかりやすい。原始演算法なんて最高だ。カーバードワラントとかeワラントとかネットワラントとかに取り組む前に最低限は読んでおくべきだ。
数学に強い人からは幼稚とか言われそうだけど、こんなにわかりやすく説明できる著者の能力に感服する。
3つの戦略
- 正統派 ファンダメンタルズ
- 実践派 テクニカル分析
- 策略派 さやとり
2つの基準
- リスク
- リターン
勘違いしやすいがポートフォリオはリターンを向上させる効果はなく、リターンのばらつきをなくす方向に働く。
代表的なディリバティブ
オプションの基本4パターン
- コールの買い 株を買う権利がある 下がると幸せ
- コールの売り 株を売る義務がある 上がったら破産
- プットの買い 株を売る権利がある 下がると幸せ
- プットの売り 株を買う義務がある 下がったら破産
組み合わせでさまざまなパターンが作れるが、いくら複雑なものでも確実に儲かるものは作れない。
用語
- 権利行使価格 ストライクプライス
- オプション料 プレミアム
- 満期日 エクスパイアー
- 原始演算法
- 確率分布とオプションの折れ線グラフを重ねて、プラスの部分についてのみそれぞれを掛け合わせると、プレミアムが求められる。
- ブラックショールズ方程式
- コールオプションを買う一方で現物売りをすることで、何も売買しないのと同じ状態を作り出すこと。株価予想が難しいというところが隠れてしまうため、魔法の方程式のように思えてしまう。
ポートフォリオ理論の将来
だれもがポートフォリオに基づいた取引をすると市場は均一になり、分散によるリスク回避の効果が少なくなる。
本物と金融工学を駆使して作られたコピーのさやとり
- 理論モデルが間違っていれば失敗
- 事情が間違っていてもほかの人が気がつかなければ失敗
- 事情が間違っていてもほかの人が後から気がつけば成功
サヤとりのチャンスは狩猟の獲物のようにどんどん消滅する。